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農業資材の既存製品を再活性化するには? 新製品に頼らない販促テーマの見つけ方

農業資材の既存製品を再活性化するには? 新製品に頼らない販促テーマの見つけ方

「今年は大きな新製品がない。何を話題に販促を進めようか」

農業資材メーカーの販促担当者から、よく聞く悩みです。長く扱っている製品ほど、チラシも営業の説明も、毎年ほぼ同じ内容になっていきます。

ただ、長く売れている製品には選ばれている理由があり、購入の前に迷われている点もあります。この二つを調べ直すと、まだ伝えていない特長や、説明が足りていない部分が見えてきます。それが次の販促テーマの候補になります。

ただし、売上が落ちた原因によっては、販促では解決できません。この記事では、まず原因を切り分け、そのうえで社内にある情報から販促テーマを見つける手順を整理します。

販促の前に、売上が落ちた理由を切り分ける

最初に確かめたいのは、どの地域、どの作物、どの販売先で落ちているかです。全国合計では横ばいでも、伸びている産地と減っている産地が混ざっていることがあります。

数字は、金額と数量の両方で見ます。値上げをした年は、数量が減っていても金額は横ばいに見えます。また、メーカーが把握しているのは多くの場合、卸やJAへ出荷したところまでの数字です。流通在庫が積み上がった翌年は、農家さんの使用量が変わらなくても出荷が減ります。出荷の減少と、現場での使用の減少は分けて考えます。

市場の側が変わっていないかも確認します。対象作物の作付面積や品種が変わった。競合の新製品や後発品が出て、防除暦や店頭での推奨が入れ替わった。こうした変化は、販促の表現を工夫しても取り戻せません。対象にする市場と、提案の内容そのものを見直す話になります。

農薬では、防除効果が下がっている可能性も見ておきます。害虫や雑草では「薬剤抵抗性」、病原菌では「薬剤耐性」と呼ばれる現象です。その程度は作物や地域によって異なるので、「古い製品だから効かなくなった」とひとくくりにはできません。抵抗性対策では、作用機構の異なる剤を組み合わせて使うのが基本で、長く使われてきた剤が防除体系の中で役割を持ち続けることもあります。効果不足の相談が届いているなら、使用時期や散布条件も含めて、技術部門と原因を確かめます。参考:クロップライフジャパン「薬剤抵抗性管理活動」

製品の評価は変わらないのに、取扱店が減った、必要な時期に手に入りにくい、という場合もあります。これは営業と供給の課題で、広告を増やしても解決しません。

ここまでを確かめたうえで残るのが、「使える場面が知られていない」「選び方が分からない」といった、販促で改善できる部分です。原因が一つとは限らないので、並行して確かめてください。

売上停滞の原因と対応の図。効果や使用条件、作付けや競合の変化、購入のしやすさ、使える場面や特長の伝わり方の4点を確認し、原因に応じて技術部門・市場と提案・供給・販促テーマのそれぞれで対応する。この記事が扱うのは4点目の販促テーマ
売上停滞の原因を切り分け、販促で改善できる部分を見つけます。

販促テーマの材料を、社内の情報から集める

営業には「今も選ばれている理由」を聞く

継続して購入されている地域や販売先について、営業担当者に話を聞きます。「どこで売れているか」で終わらせず、次のように続けると、説明に使える材料が集まります。

  • 農家さんは、どの特長を評価しているか。
  • 初めて提案したとき、何を聞かれるか。
  • 購入を見送られた理由、他の製品に替わった理由は何か。

メーカーが説明してきた効果とは別に、荷姿や、調製するときの扱いやすさが評価されていることもあります。聞き取った内容は、地域や使い方と一緒に記録します。一人の感想を、その製品の一般的な特長として扱わないよう注意します。

繰り返し届く質問から、説明の足りない点を探す

「この作物にも使えるのか」「規格の違いは何か」「どこで買えるのか」。同じ質問が何度も届くなら、購入に必要な情報が見つけにくくなっています。

たとえば、すでに登録のある作物なのに、使えることを知らない人が多い。それなら、その作物に向けた案内を見直す余地があります。シリーズ内の違いが伝わっていないなら、選び方の説明が役に立ちます。

農薬の混用に関する質問は、扱いに注意が必要です。ラベルに混用の注意事項があればそれを守ること、知見のない組み合わせでは混用しないことが、行政の指導の基本です。生産者団体や都道府県の混用事例集も、事例を紹介するものであって、推奨するものではありません。販促資料で混用に触れるときは、この範囲に沿って案内します。参考:クロップライフジャパン「現地混用ができる事例を教えて下さい。」

適用のない使い方への要望は、販促の材料にはなりません。開発や登録を検討するための情報として、別に記録しておきます。登録の申請中で、まだ認められていない内容も同じ扱いです。

発売時の試験資料を読み直す

発売当時の資料に、今の農家さんの関心につながる情報が残っていることがあります。調製時の分散性や泡立ち、作業にかかる時間などです。発売時には重視していなかった項目が、人手不足が進んだ今では選ばれる理由になっていることもあります。

使えそうな結果が見つかったら、試験条件、比較対象、そして現在の製品にも当てはまるかを技術部門と確かめます。処方や規格が変わっていれば、当時の数字はそのまま使えません。裏付けが足りなければ、追加で確かめる候補として残しておきます。

集めた情報から、伝えるテーマを一つに絞る

材料が集まったら、「誰に」「何を伝えるか」を具体的にします。「製品の良さを再認識してもらう」というテーマでは、結局いつもの説明に戻ってしまいます。どの作物の農家さんが、何に迷っているのか。そこまで書き出します。

考え方を示すために、仮の例を三つ挙げます。

ある農薬が、主な用途ではよく知られているのに、すでに登録のある別の作物ではあまり知られていないとします。この場合は、その作物で検討する人に向けて、適用条件と使用上の注意をまとめることが販促テーマになります。作物名だけを大きく見せるのではなく、対象病害虫、使用時期、回数を一緒に確認できるようにします。地域の防除体系に合うかどうかは、営業と技術部門で検討します。

肥料なら、既存シリーズの成分や施用条件の違いを整理して、選び方を説明する方法があります。被覆資材なら、施設に合う規格の選び方や、設置・交換のときの注意点が候補になります。

現場の声から販促テーマを考える仮の例。農薬は「この作物にも使える?」から現在の登録と地域の防除体系を確かめ、その作物での適用条件と注意点をテーマにする。肥料は「このシリーズはどう選ぶ?」から成分・施用条件・説明の根拠を確かめ、条件に応じた選び方をテーマにする。被覆資材は「このハウスに合う?」から施設条件・規格・設置条件を確かめ、規格の選び方と設置時の注意点をテーマにする
繰り返し届く質問から、購入前に必要な説明を考えます(考え方を示す仮の例)。

候補が複数あるときは、次の三点で選びます。

  1. 農家さんや販売店の、今の困りごとに関係しているか。
  2. 説明を裏付ける登録内容、仕様、試験結果があるか。
  3. 対象の地域で、その製品を買える状態になっているか。

三つ目は見落とされがちです。資料を読んで関心を持ってもらえても、取扱いや供給の準備がなければ購入にはつながりません。

新しい説明を加えるときも、製品名や規格の表記は変えずに残します。いつも買っている農家さんが、同じ製品だと確認できることが必要だからです。

相手が決める時期に合わせて届ける

伝える内容が決まったら、誰が説明し、いつ使う資料なのかを考えます。

JAや卸、販売店に向けた資料は、対象の作物と使用場面、よくある質問、製品の特長を短くまとめます。詳しい根拠や条件は、技術資料や製品ページで確認できるようにしておきます。

農薬の場合、営農指導の観点で検討する人と、取扱いや供給を調整する人が別であることが少なくありません。防除暦への提案も、地域の病害虫の発生状況や、抵抗性・耐性への対応を踏まえて検討されます。誰に、どの資料が必要なのかを、営業担当者と確かめておきます。

案内の時期は、使用時期から考えるだけでは足りません。相手が計画や購入を決める時期から逆算します。防除計画、予約注文、取扱商品の選定の日程は、作物・地域・取引先によって違います。この考え方は、農薬製品のマーケティング設計の「判断日から引くカレンダー」で詳しく説明しています。

Webにも、今回のテーマに合う説明を用意します。広告やチラシで関心を持った人が、詳しい情報を自分で確かめられるようにするためです。製品ページの整え方は、農業資材メーカーの製品サイト改善で紹介しています。

公開前に、見出しや図も含めて、現在の登録内容・表示・仕様と合っているかを確認してください。「作業が楽になる」といった表現にも裏付けが必要です。肥料は保証票の保証成分が説明の土台で、病害虫を防ぐといった農薬にあたる効果はうたえません。バイオスティミュラントについては、農林水産省が2025年5月に表示等に係るガイドラインを公表しており、効果の表示には根拠の確認が求められています。どの資材でも、試験で確かめた範囲を超えて伝えていないかを点検します。

一つの製品と一つの地域から試す

最初は、一つの製品と対象地域に絞ります。範囲が狭いほうが、営業や販売先から反応を聞き取りやすくなります。始める前に、何が変われば手応えがあったと言えるのかを決めておきます。

知られていなかった適用を伝えるのであれば、その作物に関する相談の件数や、資料の閲覧数。販売先で説明しやすくするのが目的なら、資料が実際に使われたか、どんな質問が出たか。その先で購入や再注文につながったかも、把握できる範囲で確かめます。指標の置き方は、KPI設計と計測環境の記事が参考になります。

売上の変化には、天候、病害虫の発生、作付面積、価格も関わります。広告の反応だけで結論を出さず、営業や販売先の声と合わせて振り返ります。季節性のある製品は、検討から購入、使用までの時期が一巡してから評価します。

まとめ

  • 販促の前に原因を切り分ける。効果や使用条件、作付けや競合、供給の問題は、販促では解決できません。
  • テーマの材料は社内にある。営業が知っている「選ばれている理由」、繰り返し届く質問、発売時の試験資料の三つを見直します。
  • テーマは「誰が、何に迷っているか」まで具体的にする。裏付けがあり、その地域で買えることが条件です。
  • 届ける時期は、相手が決める時期から逆算する。まず一つの製品と一つの地域で試します。

まずは主力製品を一つ選び、営業の話と問い合わせの記録を見比べてみてください。今も選ばれている理由、よく聞かれる質問、説明が足りていないところ。その中から、次の販促で取り上げるテーマを選びます。年間の計画に落とすときは、広告媒体・予算・KPI設計シート(Excel版・記入例つき)が使えます。

既存製品の販促テーマの整理や、営業資料・Webの見直しについては、農業メディア広告ガイドの相談窓口へお寄せください。

※本文と図の例は、考え方を説明するための仮の例です。特定の製品の効果や販売成果を示すものではありません。農薬の使用条件は、各製品の現行の登録内容とラベルで確認してください。

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