※当記事は先日開催されたオンラインセミナーのダイジェスト版です。
各農業資材メーカーで運用型のネット広告も徐々に活用するようになってきました。
その背景としてはどのようなことがあるのか、そもそも運用型広告とはどのようなものか、そして農業資材メーカーにとってはどのような広告がふさわしいのか、簡単に整理してみます。
背景
農業従事者は高齢者比率が高いのに対して、高齢者のネット利用者は少ない…そのような理由でネット広告が検討から外れることは多かったように思います。
しかし、実際はどうなのでしょうか?
最近10年間の状況を見ても高齢者のネット利用率は非常に上がっています。
上の図をご覧いただいてもわかる通り、60代、70代、80代以上のネット利用率は大幅に上がっています。今や、インターネットは幅広い年代に対して有効なメディアになってきています。
上図は日本の広告の市場規模です。ネット広告だけが唯一市場規模を伸ばし続けています。
そのように非常に伸びているインターネット広告ですがその内訳はどうなっているのでしょうか?
上図はインターネット広告の種別構成比です。実はここで赤い点線内の広告は今回のテーマである運用型の広告です。約85%が運用型の広告ということになります。
インターネット広告というのは主に運用型の広告であるといえると思います。
運用型広告とは
さて、運用型の広告というのはどのような広告をさすのでしょうか。
読んで字のごとく、「運用」する広告のことです。
ネット広告は様々な数値を確認することができるので、その数値をチェックしながらコントロールし続けることができるのがこの「運用型広告」です。
インターネット広告には料金形態もさまざまです。
インターネット広告の料金形態
- インプレッション保証型
- 期間保証型
- インプレッション課金型
- クリック課金型
- 成果報酬型
上記の「インプレッション課金型(=表示回数に応じて課金するタイプの広告)」と「クリック課金型=クリック数に応じて課金するタイプの広告」は運用型広告で多く見られる広告の課金形態です。
また、インターネット広告は決まった枠に掲載する広告だけではありません。むしろ決まった枠に掲載するタイプの広告は全体からすると少数派です。これは、新聞や雑誌などの決まった枠にしか掲載したことがない広告主の場合、とても不思議な感じがすると思います。
そもそも広告出稿の考え方が異なっているのです。
決まった広告枠に広告を掲載するのは「枠」への広告となりますが、インターネットでは「人」に対して広告を当てることができるのです。
様々な種類の広告があるインターネット広告ですが、それぞれ効果的なシーンが異なります。
一概には言えないのですが、以下の図はあえて簡略化するためにステージ毎に効果的な広告種をまとめてみました。
先ほど、インターネット広告ではさまざまな数値が計測できることをお伝えしました。
非常に多くの数値を計測できるのですが、ここでは代表的な指標をお伝えしようと思います。
これらは一部の指標ですが、特に重要な指標となります。
主な広告の種類
ここからは主な広告をご案内いたします。
リスティング広告
検索したキーワードに応じて掲出される広告です。
広告の以下のような掲載順位はオークション形式で決定します。
掲載順位が決定する例として以下のスライドを用意しました。
上の表では入札額×品質スコアが最大となるB社が一番上に表示されるというわけです。
入札額に関しては事前調査で、どの程度の金額が妥当かなど調査することもできます。
下図はキーワード別の検索ボリュームや推奨キーワード単価の一例です。
また、キーワードの解釈に関しても、「完全一致」「フレーズ一致」「部分一致」などありますが、最初の設定では「部分一致」から始めることが妥当なケースが多いです。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は決まったサイト内の決まった広告枠に表示される広告です。
このディスプレイ広告も個別のサイトに向けた広告だけではなく、広いアドネットワークに向けて広告を掲載することができます。
上図のディスプレイネットワーク広告はアドネットワーク上で広告配信システムを活用した広告を指します。
ユーザーをターゲティングした上で幅広いWebサイトやアプリに広告を配信することができます。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は1度貴社サイトを訪れたユーザーを、サイト離脱後も追跡する広告のことです。
一度でも貴社サイトを訪問したユーザーはそもそも関心度が高いため、再度広告を表示することによる広告効果が高いといわれています。
このリターゲティング広告は「Cookie(クッキー)」という仕組みを利用しています。
Cookieとは、WEBサイト側が、ブラウザを通じてユーザーの使用端末にデータを書き込んで保存させる仕組みのことです。
リターゲティング広告はこの仕組みを利用して効果的な広告なのですが、最近、個人情報保護の観点からこのCookie規制を強化する動きが出てきています。すでにブラウザ(Safariなど)によっては完全に利用できない状況になってきています。今後この動きは加速していきそうです。
Facebook広告
Facebookは実名登録が基本になっているため、明確なターゲット指定ができることなどが特徴です。
Facebook広告の主なターゲティング
①ユーザーの統計データを基にしたターゲティング
登録した年齢・性別・住所・言語などを使った正確なターゲティング
②ユーザーの利用データを基にしたターゲティング
「いいね!」しているページや学歴、業種、ユーザーの興味・関心など
③メールアドレスなどと紐づけたカスタムオーディエンス
既存の顧客リスト(メールアドレスなど)とFacebook内のデータ連携
例えば、Facebookのユーザーで以下のような対象を抽出することが可能です。
YouTube広告
動画を利用した広告ではYouTube広告は非常に強力です。
情報量の多い動画だからできる広告表現も多くあります。既存の動画データを活用して広告配信を行うことも可能です。
さらに、Googleのすべての広告枠に広告配信ができる「P-MAXキャンペーン」など、新たな広告タイプも出てきて非常に彩り豊かになってきました。
農業資材メーカーにとっての有効策
ターゲットをはじめから絞りすぎてしまうと有効なデータの蓄積ができません。
特に運用型広告の場合はデータの蓄積により学習効果を働かせることが重要なので初めから絞り込みすぎることなくスタートするのが良いと思います。
重要なのはゴールに向けたシナリオ設計であって、そこが上手に設計できれば調整や機械学習などでどんどん効果は高まっていきます。
農業資材メーカーはサイトの主目的がブランディングであるケースが多いです。
ただ、その場合でも自社の商品やサービス、または自社そのものに対するブランド価値を高めるためにそれぞれの小さなゴール設定が必要だと思われます。
ユーザーのタイプを分けてそれぞれのユーザーに行ってほしい行動のシナリオを設計して、最終的にたどり着いてほしいゴールを設定する事が効果的と考えます。
このシナリオは複数パターンできると思いますが優先順位をつけ高い順に施策を実行する。
そして効果を検証しながらマーケティング活動を進めていくべきだと思います。