「販売促進」と「ブランディング」

広告の目的にはいろいろありますが、大きな分類として「販売促進」と「ブランディング」があります。

「販売促進」とは文字通り、販売を促進する(=お客様を獲得する)ための活動を指します。

「顕在化した顧客をできる限り効率的に少しでも低いコストで販売に結び付ける」という考え方に立ち、
効率を追求するのが「販売促進」です。比較的とらえやすい概念です。
反射的な購入や最後のひと押しをするのも、この「販売促進」施策です。


それに対して「ブランディング」はややとらえづらい概念です。

ブランディングは多くの人に知ってもらう(=広さ)愛される(=深さ)、さらに、長期にわたって指名される(=長さ)などいろいろな要素が関わってくる概念なので少し複雑なのです。
数値でもなかなか測れないのがこの「ブランディング」です。

単純に「売上げ」を上げるという目的に対して「販売促進」はより直接的です。
効果も見えるから、わかりやすい!そんな理由で「販売促進」施策にだけに力を注ぎ続けると、どういうことになるでしょうか?

上の図で言えば、右側にある「獲得施策」などは「販売促進」施策とほぼ同じ意味で使っています。
最終的に選んでもらう(=購入する)段階において獲得施策は重要ですが、それだけでは行き詰まってしまいます。つまり施策効率が下がってきてしまうのです。
その基となるのは図の左側にある「気づいてもらう」「覚えてもらう」「好きになってもらう」「深く知ってもらう」などのさまざまな段階を刺激する「認知」施策、「意識変容」施策、「態度変容」施策などの蓄積があってこそなのです。

反射的な購買というのは実は稀で、実際には過去の地道なブランディング施策の蓄積によって購買に結びつくことが多いのです。

「気持ちをつくる」ということ

この「ブランディング」施策を簡単な言葉にすると「気持ちをつくる」ということになるのではないでしょうか。

…そう考えたときに、これは短期で完成できるものでもないように理解できます。

特に、農業資材は農業従事者(プロ)に向けた業務用の商材という位置づけになります。それは、一般消費財とは性格が異なり、時間をかけてじっくりとブランドイメージを醸成させていく必要があります。

ブランディングの手順

状況によってさまざまが、ブランディングには主な手順があります。
以下はざっくりとした流れです。

①環境分析を行なう

企業・商品の強み・弱み、競合との差異、置かれている環境、顧客のニーズ、参入する市場やカテゴリ、ターゲットユーザーなどを分析して、戦いの舞台を決めていきます。

②ターゲットの設定

曖昧なターゲットや広すぎるターゲット設定では結果的に誰の心も捉えることができません。
上記の環境分析で見えてきた市場の中で、ターゲットとなるユーザーを決めていきます。

③ブランド・アイデンティティを定める

ブランド・アイデンティティ というのは「顧客にどのようなイメージを持ってもらいたい」のかを明確にしたものです。
会社・商品らしさを表現し、競合他社(競合商品)との差別化を行なう役割を持っています。

④ブランドが提供する価値を定める

「どのような価値を提供したいのか」を明確にします。
たとえば、次のような価値を指しています。

● 品質や性能の高さなどによる「実利価値」
● デザイン性やイメージなどがもたらす「感性価値」
● 使用感や体験などの心地よさからくる 「情緒価値」
● 自己表現や社会実現がもたらす「共鳴価値」

⑤ブランドのパーソナリティを定める

ブランドが持つ「人格・個性」のことです。つまり「その企業・商品を人に例えたらどんな人ですか?」を定めることです。
このようにしてブランドを人に例えることにより、「この人ならば、ああするに違いがない」とか「この人ならば、ああいうことはしないはず」といったことが見えやすくなるのです。

⑥コードとスタイルに落とし込む

「コード」とはコピーやスローガンなど、ブランドアイデンティティを言葉の形で表したものを指します。
「スタイル」とは、目に見える形でブランドアイデンティティを表現したもので、デザイン要素などがこれにあたります。
コードとスタイルが定まることにより、「何を使って戦うのか」が見えてきます。

⑦クリエイティブ作成とメディア選定

上記の「コード」と「スタイル」をもとにクリエイティブを作成して、告知するメディアなどを選定していきます。
クリエイティブの作成やメディアの選定は「どのように戦うのか」を決めることに相当します。

今回はざっくりとした流れを示しました。
もっと具体的な流れは別の機会にコラムで取り上げたいと思います。

色々と手間のかかる部分もありますが、ひとたびブランディングに成功すれば、「指名買い」する顧客が増えてきます。価格競争などに巻き込まれることもなく、長期的な売り上げをもたらすことになります。